衣麻と僕と俺と私




膝に乗って来ようとしてた瑛斗を


そっと下ろしてから玄関に向かう。


宅配便か鍵を忘れた衣里ちゃんか。


――――ガチャ


自分で出たことを後悔した。


自分の中で整理もできてないのに


こんなのひどいよ。


「ちょっと良い?」


「あー・・・ちょっと待ってて」


さすがに断る訳にはいかなくて


そう言って家の中に戻る。


とりあえず瑛斗を瑛太に預けなきゃ。


お母さんは夕方まで戻らないって言ってたし。


「瑛太?」


瑛斗を抱っこして瑛太の部屋の前まで行って、声をかけた。


寝てなかったら良いんだけど。


「ん?」


良かった。起きてたみたい。


「瑛斗をお願い。ちょっと出て来るけん」


「えー・・・まぁええけど」


文句を言いながらも瑛斗大好きな瑛太。


笑顔で了承してくれた。