だから、別に悪い話じゃなくて焦らしてるだけなのかもしれない。
だけど、今まで約10年間一緒にいて、こんなことは初めて。
不安になって当然だと思う。
「やっぱり何でもない。
夏休み、お昼僕の家で食べるよね?」
気にはなったけど、翔馬が笑って言うんだからきかないでおこう。
「うん、おばさんのご飯おいしいんやもん!」
夏休みに遊べることを楽しみにしてるのが衣麻だけじゃないように思えて
衣麻のテンションはもちろん右肩上がり。
それを翔馬も感じ取ったようで、肩を震わせて笑ってる。
「じゃあ、お母さんにそう言っとく。また明日ね。
あ、ちゃんと宿題しいよ!バイバイ!」
話してる間に翔馬の家に着いて、そう言われた。
翔馬はまるでお母さんだ。
いつも衣麻のことを気にかけてくれる。
「うん、バイバーイ!」
“ありがとう”の気持ちも込めて、衣麻は大きく手を振った。


