衣麻と僕と俺と私




衣里ちゃんが自分のことを“衣里”って言ってたのは


確か小学校卒業するmで。


それに比べて衣麻って・・・子どもだ。


「でも、衣麻ねぇも買うもんあるって」


瑛太が同意を求めるように衣麻を見た。


「うん。黒の靴下とか持ってないもん」


中学校までは白の靴下じゃないといけなかったのに


高校は黒の靴下じゃないといけない。


だから買いに行かないといけないんだけど、間に合うかなぁ。


「衣麻、入学式の前の日までちゃんと見張ってあげるけん


とりあえず買い物行ってきたら?時間も時間やし」


そう言われて時計を見ると、午前10時。


目的地までは徒歩と電車で1時間だから


さすがに行かないと夕方に帰って来れないか。


「うん、行って来る。ありがとう衣里ちゃん」


「どういたしまして。行ってらっしゃい」


笑顔で手を振る衣里ちゃんに見送られて


衣麻と瑛太は買い物へと出発した。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「あれ?ここ、誰か入ったん?」


家を出て数メートル、瑛太の視線の先には旧翔馬宅。