衣麻と僕と俺と私




しかも・・・


「俺って・・・いつからそんないっちょ前になったん」


思えば良太たちも中学1年生から俺って言い始めた。


だけどまさか瑛太まで言うようになるとは思ってなかった。


「は?みんな言いよるし。


衣麻ねぇこそいつまで衣麻って言うつもり?」


「え?」


手は止まったままで考える。


言われてみればそうだ。


衣麻と雪乃だけは未だに一人称が自分の名前。


さすがにそろそろ直さないとマズイよね。


「あ、偉い。ちゃんとしよるやん」


階段を下りて居間に入って来たのは衣里ちゃん。


電車で1時間半の大学に通うことになって、明日が入学式。


髪を染めた訳でも服装が変わった訳でもないのに


大学生ってだけでかっこよく見える。


「あれ?でも瑛太と買い物行くんやなかったん?」


衣里ちゃん、それ今言わないで欲しかった。


恐る恐る瑛太を見ると、案の定こっちを睨んでるし。


「瑛太、別に私が行ってもええんよ?」


衣里ちゃんが衣麻の隣に座りながら言った。


そういえば、衣里tyんだって“私”って言ってる。