衣麻と僕と俺と私




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約束通り


部活に行く前に高屋くんと一緒に体育館裏に来た。


だけど、2人きりではない。


雪乃たちも息を潜めて高屋くんにバレないように


様子を伺ってる。


衣麻が頼んだ。


これ以上距離を開けたくなくて


衣麻の気持ちを知ってもらいたくて。


「ごめんね、こんな日まで呼び出して」


高屋くんの言葉に首を横に振った。


だって、これは衣麻が望んでたことでもあるから。


「俺ね、越智さんと友達では終わりたくない」


この言葉には驚かなかった。


ただ、“良太が言ったことはほんとやったね”って思った。


少しショックなのは事実だけど。


「俺は友達として越智さんを意識しとる訳やないって


前に言ったよね?」


それは、確か4月の始業式の日のこと。


あのことで衣麻はすごく悩んだから、鮮明に覚えてる。