衣麻と僕と俺と私




「俺は、高屋を好きになれん」


そう言って良太は立ち上がった。


“でも、高屋くんは良太のことも心配しとったんよ”


良太の背中にそう言いたかったけど、無理だった。


言ったとしても、きっと逆効果。


今はもしかして2度目の試練なのかもしれない。


1度目は、翔馬がいなくなった時のこと。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



6人がそれぞれ心の中にもやもやを残したまま入試


そして卒業式を迎えた。


合格発表は明日で、初めてバラバラに見に行くんだと思う。


最近は登下校もバラバラで、もちろんそれは今日も同じ。


1人で登校した衣麻は1番のりで教室に入った。


寒いだろうなとは思ったけど


1つだけ窓を全開にして外を眺める。


目の前に見える桜の木のつぼみは


この前より少しだけ大きくなってる。


はぁ・・・。


思わずため息が出た


こんな状態で衣麻たち6人が大丈夫な訳がない。