衣麻と僕と俺と私




「雪乃、高屋に嫉妬?」


からかうような和斗の言葉。


「は!?まさか!ユキはただ・・・」


うん、雪乃の言いたいことは分かってる。


「高屋うんに翔馬の代わりはできん」


「衣麻・・・」


衣麻の名前を呟いたのが誰かも分からないけど


きっとみんな同じような心境だと思う。


だって、翔馬がいなくなってからは約束をした訳でもないのに


誰も翔馬の名前を口にしてなかったから。


「高屋くんは、ただ友達になっただけ」


最初は高屋くんが翔馬の代わりをしようとしてたから拒否した。


でも、少しずつ話すようになって


高屋くんがどんな人なのかを知って


クールだけど優しくて人をよく見てるってことが分かった。


恋愛感情はもちろんないけど


友達としては好きだと思う。


「高屋はそんなこと思ってない」


勘が鋭くて、いつも的確な良太が言うから重みがある。


そうなのかもしれないって考えが頭に浮かぶけど


やっぱりそういうのは信じたくない。