衣麻と僕と俺と私




お姉ちゃんは近い方の高校に通ってる。


そういえば、衣里ちゃんも3年生だ。


やっぱり進路で悩んでるのかな?


だとしたら昨日あんな話したって、悪いことしたな。


「ちょっと衣麻、遅いよー!」


雪乃に呼ばれて初めて、衣麻のスピードが遅いことに気がついた。


「あ、ごめんごめん」


衣麻は慌てて追いついて


さっきまでの考えを頭の中から消すように頭を振った。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「衣麻、最近何で高屋くんがいつも近くにおるん?」


もうすぐ冬休みっていう日の昼休み。


いくら寒くても体育館裏に集う衣麻たち6人の姿は相変わらず。


そんな中、鋭い言葉が雪乃の口から飛び出した。


「何でって・・・」


いつかは言われるだろうと構えてはいたけど


まさかこのタイミングだとは思わなかった。


だって、もうすっかり普通になっていたから。


高屋くんと衣麻は決して恋人同士になった訳ではない。


ただ、より翔馬に近い存在になってきていることは確か。


衣麻もそんな高屋くんに信頼を寄せてる。