朝の集合場所である公園に着くと雪乃しかいなかった。
「雪乃、おはよー」
「あ、おはよう衣麻。男子は朝練やって」
なるほどね。
もうすぐ中学最後の試合とか言って張り切ってたっけ。
衣麻たちも10月の文化祭までで引退する。
こうして考えると3年間ってあっという間。
どれだけ1日1日を大切に過ごしていても流れる時間は止められない。
「ってか・・・今日から面談やん!」
雪乃が突然大声を出すもんだから
同じように通学してる中高生が振り返ってきた。
まぁ、でもそうなるよね。
衣麻だって戸惑ってるもん。
「衣麻は進路どうするん?」
「進路、ねぇ・・・」
どうするもなにも、全く考えたことがない。
だって、今までは考える必要がなかったから。
特に将来の夢がある訳でもないし。
あ、でも“家族に恩返しする”って夢はちゃんとあるけどね。
「高校に行くとしたら隣町やろ?
近い方受からんかったら遠い方やし・・・」
高校か・・・考えたことなかったな。