衣麻と僕と俺と私




当然だけどほとんどの生徒が下校してて


校舎内はすごく静か。


普段はあんなに賑やかだから変な感じ。


「越智さん家どっち?」


正門まで来て高屋くんにきかれた。


「右やけど?」


「俺もそっち方向。途中まで一緒に良い?」


良いもなにも、そうしないと不自然だよね。


「うん、良いよ」


そして衣麻は自転車を押して一緒に歩き始めた。



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中学校は南小学校区内にあるから


当然だけど高屋くんの家の方が近い。


3年目になるのに通学路を歩くなんて初めてで


お腹が空いてるにもかかわらず衣麻は結構うきうきしてる。


「あ、俺の家、ここ曲がってすぐなんよ」


高屋くんがそう言ったのは、学校をでて約5分。


近すぎる。羨ましすぎるよ。


まぁ、衣麻にとっては自転車で20分が


雪乃たちといっぱい話せるし良いんだけど。


「そうなん?じゃあ・・・また明日ね。バイ」