衣麻と僕と俺と私




あ、因みに斉藤くんは1年生の時同じだっただけ。


「失礼しまーす」


1番のりだったみたいで、放送室にはまだ誰もいない。


いくら4月でもここはカーペットの部屋。


空気がこもって変な臭いまでしてるから


窓を開けて空気を入れ換えよう。


「あ、越智さんおった」


「あ、高屋くん。帰ったんかと思いよった」


ちょうど窓を開け終わってのんびりしてたら


高屋くんがドアを開けて顔を出した。


「何か、中止になったみたい」


「え、委員会?」


高屋くんは黙って首を縦に振った。


こんなに早く中止になるなんて、どうしたんだろう。


今日は何だか変な日だ。


「幼なじみ、先帰ったん?」


南小学校出身の子たちは


衣麻たち北小学校出身の集まりを“幼なじみ”って呼ぶ。


嫌な訳じゃないけど、何だかやっぱり壁を感じてしまう。


「うん、どれくらいかかるかも分からんかったし」


高屋くんと2人で窓を閉めて、放送室を出る。