衣麻と僕と俺と私




思わず泣きそうになるけど、唇を噛んで耐える。


こんなことで泣いちゃ駄目。


「あ・・・私もごめんね。


分かっとったはずやのに何回呼んでも反応してくれんけん


つい・・・」


「ううん・・・ほんとごめん」


千葉さんは優しいから許してくれたけど


もし短気な人だったら駄目だったろうな。


そう思うとなんだか悔しくて


更に強く唇を噛み締めた。


「あ、それでね。


放送委員集まりあるらしくて・・・」


「あ、そうなん?


伝えてくれてありがとう」


衣麻たちの様子を見守ってたクラスメイトも


落ち着いたことが分かると徐々に動き始めて空気が元に戻った。


放送委員の集まり、か。


この時期は特に何もないはずなんだけど


どうしたんだろう。


もう1人の委員の高屋くんは帰っちゃったみたいで


教室にはいなかったし。