2年生に進級した時、みんなで話したことがある。
『1年ってあっという間やね。この1年は大切にしよね』
別にこの1年を粗末にして過ごして来た訳じゃない。
だけど、やっぱり時の流れは早すぎて
また1年があっという間に終わってしまった。
つまり、中学最後の年。
耳を塞ぎたくなるけど進路も考えないといけないし
いつまでも“部活楽しい、学校楽しい”じゃ済まされないんだ。
「明日から進路の面談するけん、心の準備しといてよー」
始業式後の学活で先生が発したその言葉は
間違いなく衣麻の心を傷つけた。
「じゃあ、解散!」
今日は部活ないし、みんな真っ直ぐ帰るのかな。
衣麻は真っ直ぐ帰ります。
なんて、無気力になりながら
鞄に筆箱やファイルを入れていく。
今日はそんなに荷物多くないのに
何だかすごく重く感じます。
「あ、衣麻!」
右側から雪乃の叫び声というか
悲鳴に近いような声が聞こえて反応した。