衣麻と僕と俺と私




そこには、久しぶりに顔を合わせるお母さんと


お母さんに抱かれて泣いている赤ちゃんの姿。


「あ、おかえり衣麻。あと、ただいま」


お母さん、顔色が良いし、もう大丈夫なんだ。


あと、赤ちゃんも。


実は、瑛太がサッカーの試合に行った日


あの日は修学旅行の1週間前だったの。


あの日に赤ちゃんは生まれて来て


予定日までも1週間もないくらいだったから


体重はちゃんと2500gあったんだけど・・・


少し飲み込む力が足りなくて


お母さんも出産で疲れてたから母子ともに


しばらく入院になってたんだよね。


だから衣麻はお母さんに会えずに修学旅行に行って


すごく心配だった。


でも、こうして無事に退院できててほんと良かった。


だって、まさかこんなに歳が離れたきょうだいが


できるとは思ってもなかったし。


「名前はね、瑛斗にしたんよ」


「瑛斗・・・」


新しく弟ができたんだ。


よろしくね、瑛斗。