だけど、簡単に口にしてはいけないような気がして。
「はい、そうなんです」
嘘じゃないしと思って、そう答えた。
バックミラーに写った良太と篤も
隣の雪乃も頷いていた。
「僕には幼なじみと言える人はいないから羨ましいなぁ。
これからもみんな仲良く大人になってね」
長谷部さんの暖かい言葉には思わず胸がぎゅってなったけど
今ここで泣く訳にはいかないから笑顔で返した。
それに衣麻はもう、泣かないって決めたから。
翔馬がいなくなったと分かった日が
衣麻の最後の涙の日。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
修学旅行から返って来ると
家には聞きなれない泣き声が響いていた。
迎えが衣里ちゃんと瑛太だったことと
最近のお母さんの体調から考えて
おおよその検討はつく。
そっか、修学旅行中に無事、出てきたんだ。
「お母さん!」
衣麻は荷物を玄関に放り出して、居間へと駆け込んだ。


