衣麻と僕と俺と私




去年までは男子と雪乃はほぼ変わらないくらいだったのに


最近は少しずつ差が出てき始めた。


成長期って奴かな。


翔馬も大きくなってるんだろうな。


なんて、こんな時でも翔馬のことを考えてしまう。


「さて、そろそろホテルに戻りますか!」


いっぱい写真を撮って満足したらしい雪乃は


観光タクシーの運転手さんに“お願いしまーす”って言ってる。


男子はクタクタになったみたいで、帰りはずっと無言だ。


和斗と航平なんて寝ちゃってるし。


「君たちは仲が良いんだね」


今日1日お世話になった運転手の長谷部さんは


衣麻たちが退屈しないように話しかけてくれる。


雪乃は撮った写真に夢中で良太と篤は窓の外を見てるから


答えるのは基本的に衣麻なんだけど。


「10年以上一緒にいる幼なじみなんです」


「へぇ・・・そりゃあすごい。ずっと6人なんだ?」


この言葉には思わず黙ってしまった。


だって、何て言えば良いのかわからなくなったから。


“4年生までは7人だったけど、引っ越しちゃったんです”


って言えば良いことは分かってる。