衣麻が人生初の愛の告白を受けてもうすぐ1年。


衣麻たちは中学2年生になっていた。


同級生とは去年よりは深く関われるようにはなって


衣里ちゃんの“楽しい”の意味が少しずつ分かってきた。


「瑛太、忘れ物ない?」


「ない。衣麻ねぇに言われたくないし」


“偉そうに!”って言いたくなったけど、ここは我慢。


だって、ここで喧嘩しちゃったら瑛太が辛いだろうし。


「試合見に行きたかったんやけど、ごめんね」


「別に。衣里ねぇで十分。


衣麻ねぇは修学旅行の準備ちゃんとしときよ」


ほんとにこの子は弟なんでしょうか。


絶対、衣麻よりしっかりしてると思うんだよね。


「はい、ちゃんとします。


負けても良いから怪我しないでね?」


「怪我してでも勝つし。行って来ます」


どこまでも強気なまま


瑛太は駅の方向へと歩いて行った。


昔から強気だったけど


まさか5年生になっても健在とはね。


『ちゃんと宿題しいよ!』