焦ったのは男子だけじゃなくて衣麻も。
突然、斉藤くんと2人きりになって困った。
いや、そりゃあ教室内には他にも人はいるよ。
だけど、半径数メートル内には
衣麻と斉藤くんだけなんだもん。
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しばらくぼーっとしてた気がする。
いや、違うな。
ここから見える中庭の時計を見て分かるように
5分と経ってない。
「あ、衣麻」
不意に名前を呼ばれて
誰かなんて分かってたけど顔を上げた。
「・・・良太。どしたん?」
ここは人があまりいないからと
さっきまで斉藤くんも一緒にいた。
もしかしたら見られてたかもしれないという
焦りが生まれる。
「係の仕事思い出して職員室行っとった」
「そっか」
確かこの上は職員室。


