衣麻と僕と俺と私




焦ったのは男子だけじゃなくて衣麻も。


突然、斉藤くんと2人きりになって困った。


いや、そりゃあ教室内には他にも人はいるよ。


だけど、半径数メートル内には


衣麻と斉藤くんだけなんだもん。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



しばらくぼーっとしてた気がする。


いや、違うな。


ここから見える中庭の時計を見て分かるように


5分と経ってない。


「あ、衣麻」


不意に名前を呼ばれて


誰かなんて分かってたけど顔を上げた。


「・・・良太。どしたん?」


ここは人があまりいないからと


さっきまで斉藤くんも一緒にいた。


もしかしたら見られてたかもしれないという


焦りが生まれる。


「係の仕事思い出して職員室行っとった」


「そっか」


確かこの上は職員室。