衣麻と僕と俺と私




靴箱で靴を履き替えながらの会話。


男子は“パーカッションって何?おいしいん?”


って顔で先に教室に向かってる。


そういえば、男子が何の部活に入ったのか知らないや。


どの部も昨日が本入部の日だったから。


「雪乃、男子の部活知っとる?」


「ううん、知らん。


お昼にでもきこうと思いよった」


そっか、雪乃もか。


翔馬がいなくなって3年。


衣麻たちの傷は時間の経過とともに


少しずつ癒えてきてる。


だけど、雪乃曰く


『良太と衣麻にとっては翔馬の存在が大きすぎたんだと思う』


らしい。


何でも、雪乃を含め他の4人は何とか悲しみを隠せてるけど


衣麻と良太は隠しきれていないんだとか


衣麻はそんなつもり全くなくて


普通にしてるつもりなんだけどね。


でも、確かに時々思う。


3年前の夏休み前から


翔馬の様子がおかしい時があった。