衣麻と僕と俺と私




だけど、どうしよう。


衣麻には上手く言える自信はない。


「衣麻、昨日のおばさんの言葉・・・」


やっぱり雪乃も同じこと思ってたんだ。


伝えるなら衣麻からだと思う。


教えてくれたのは衣麻のお母さんだし。


でも・・・


「衣麻の言葉で大丈夫。伝わるけん」


思わず雪乃の顔を見た。


一緒にきいた雪乃だからこそ分かることもあるのかもしれない。


「あのね、翔馬。


衣麻たちにバイバイって言うん辛くて・・・


それでおばさんにお願いしたんやって。


やけん、衣麻らも辛いけど、翔馬も辛いって・・・」


中途半端にはなったけど


何とか最後まで伝え切ったと思う。


みんなに伝わったかどうかは分からないけど。


「衣麻、ごめん。帰ろわい・・・」


「良太・・・!」


伝わったかどうかを確認することもできないまま


まるで抜け殻の良太は公園から姿を消した。


残された衣麻たちは特に何かを話せる訳でもなくて


誰からともなう1人、また1人と公園をあとにした。