衣麻と僕と俺と私




だって昨日、衣麻も同じ状態だったから。


あまりの驚きに声を出せずにその場に座り込んだ。


人生最大のショックな出来事って言っても過言じゃない。


「衣麻、それ、誰にきいたん」


篤が呼吸を落ち着かせながら言った。


みんな、良太ほどじゃなくても動揺してる。


「衣麻の、お母さん」


「それ、何かの冗談とかじゃ・・・」


和斗の言葉に首を横に振った。


だって、衣麻だって十分に確かめた。


大好きなお母さんに対して初めて大声を出して問い詰めた。


お母さんに対してあんな態度は取りたくなかった。


取る権利がないことも分かってたけど


そうせずにはいられなかった。


だけど、お母さんは言った。


『翔馬くんも悩んだんやって。


やけど、“さよなら”を言ったら辛い。


やけん何も言わずにっておばさんにお願いしたらしいんよ。


衣麻たちが辛いんは分かるけど


翔馬くんやって辛いんよ』


この言葉、良太たちも知る権利があると思う。