衣麻と僕と俺と私




勘が鋭い良太。やっぱり気づかれた。


もう、隠し通せないよね。


「あのね、翔馬のことなんやけど・・・」


衣麻が言うと


サッカーボールの蹴り合いをしてた和斗と航平も


衣麻の近くまで来た。


雪乃は真実を知ってるから、辛そうな顔をしてる。


「翔馬、北海道に行ったんやって」


「は?」


「え、ちょっと待って」


「北海道?」


「・・・・・・・・・」


それぞれ反応が返って来た。


だけど中でも、良太にとってはショックが大きすぎるみたい。


だって翔馬は、特に良太と仲が良かったから。


良太は何も言葉を発さない。


そして、そのままその場に座り込んでしまった。


慌てて雪乃が駆け寄って顔を覗き込んだけど


すぐに衣麻の方を向いて首を横に振った。


きっとそれは、“今はそっとしとこう”って合図。


気持ちは分かる。