衣麻と僕と俺と私




“家族の事情はどうしようもない”ってこと。


自分がどうにかしようにも、私たちはまだ未成年。


高校も卒業してなければ働いてもない。


そんな私たちが家族から離れられる訳がない。


「じゃあ、みんな、またね。


朝から呼び出してごめん」


涙を堪えてみんなを見る。


「ばーか。ごめんって何だよ。


ありがとうって言えや!」


和斗・・・うん、そうだよね。


「みんな、本当に、ありがとう!


またねーーー!!」


両手を大きく振って見えなくなるまで何度も振り返りながら


家へと歩く。


“送る”とついてきた翔馬は


公園が見えなくなった瞬間に私の右手を自分の左手と繋いだ。


こうして思い出すのは


翔馬がこの村に戻って来て


初めて一緒に昼休みを過ごした日のこと。


こうして道を歩いていて思い出すのは


まだ小学生の頃にふざけながら一緒に帰った日々のこと。


思い返すときりがない。