衣麻と僕と俺と私




段々何が言いたいのか分からなくなってきた。


だけど、衣里ちゃんには伝わったと思う。


「今晩、お父さんに相談してみよね」


衣里ちゃんがそう言ってくれて、心から安心した。



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「そっか・・・」


その日の夜、家の居間で私と衣里ちゃんとお父さんは


三角形を描くようにして座っている。


ついさっき、昼間に衣里ちゃんと話した内容を


お父さんに伝えたところ。


「衣里にも衣麻にも悩ませてしもてごめんね」


ずっと黙って話を聞いてくれていたお父さんは


そう言って頭を下げた。


別に謝って欲しかった訳じゃない。


だから私と衣里ちゃんは困惑した。


「ほんとやったらゆっくり考えたいとこやけど


そんな時間もないしね・・・。


悪いけど明日の朝まで待ってくれん?


一晩ゆっくり考えたい」


お母さんが死んで初めてはっきりとした言葉を発したお父さん。


“今すぐ決めて”なんて思う訳もなく


私と衣里ちゃんはそれぞれ殺風景になった部屋に入った。