段々何が言いたいのか分からなくなってきた。
だけど、衣里ちゃんには伝わったと思う。
「今晩、お父さんに相談してみよね」
衣里ちゃんがそう言ってくれて、心から安心した。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「そっか・・・」
その日の夜、家の居間で私と衣里ちゃんとお父さんは
三角形を描くようにして座っている。
ついさっき、昼間に衣里ちゃんと話した内容を
お父さんに伝えたところ。
「衣里にも衣麻にも悩ませてしもてごめんね」
ずっと黙って話を聞いてくれていたお父さんは
そう言って頭を下げた。
別に謝って欲しかった訳じゃない。
だから私と衣里ちゃんは困惑した。
「ほんとやったらゆっくり考えたいとこやけど
そんな時間もないしね・・・。
悪いけど明日の朝まで待ってくれん?
一晩ゆっくり考えたい」
お母さんが死んで初めてはっきりとした言葉を発したお父さん。
“今すぐ決めて”なんて思う訳もなく
私と衣里ちゃんはそれぞれ殺風景になった部屋に入った。


