『衣麻、今から来てくれる?』


衣里ちゃんにそう電話で呼び出されたのは


明後日には家を出る、そんな日だった。


大学の近くのカフェで待ち合わせ。


衣里ちゃんの大学までも行ったことのない私は


当然迷って人に聞きまくった。


「衣麻!」


そしてようやく目的地に到着した。


「衣里ちゃん、どしたん?


瑛太にお父さんと瑛斗を任せるん大変やったんやけん」


きっと衣里ちゃんはそんなこと分かってる。


それでも私を呼び出さないといけない理由があったんだ。


「あのね、衣麻。


多分、私が衣麻に相談なんて最初で最後やと思う」


衣里ちゃんが私に相談?


そんなの確かに初めてだと思う。


衣里ちゃんは私に相談なんてしなくても


ちゃんと自分で考えて行動できるし


何よりも両親に相談してたから。


「何かあったん?」


「大学、辞めようかと思って」


瞬間、衣里ちゃんは顔を歪めた。