衣麻と僕と俺と私




あんなに良い人が近くにいたんだ。


きっと翔馬とおばさんは


大家さんにたくさん救われたんだろうな。



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「翔くん?」


川沿いにある定食屋さんで昼食をとって


のんびり歩いている時だった。


河原の方から女の子の声がしたと思ったら


すぐに視界に私より少し背が高い女の子が現れた。


「おー、真菜。久しぶり。


衣麻、さっきのアパートで隣の部屋だった


1つ年下の真菜」


「あ・・・初めまして。衣麻です」


軽く頭を下げて自己紹介をした。


「こちらこそ初めまして。真菜です。


衣麻さんのことは翔くんからいつも聞いてました」


にっこりと笑って言った真菜ちゃんは


少し千葉さんを思い出させた。


顔はちっとも似てないんだけど


雰囲気が似てる気がする。


「2人でいるってことは、やっと付き合ったの?」


真菜ちゃんの問いに、2人揃って赤くなる。