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『俺が前住んでたとこ
ここからあんまり離れてないんだ』
翔馬の言葉にすぐに“行きたい!”と返し
歩くこと約20分。
さっきまでのいかにも“都会”って雰囲気とは打って変わり
閑静な住宅街へとやって来た。
私たちが住んでいる村よりは街だけど
お店が少なくて家よりも畑が多い気がする。
「あ、あれ。あのアパートに住んでたんだ」
そう言った翔馬の視線を辿ると
8家族が入れるようになってる2階建ての可愛らしいアパート。
「ここの2階の端。あそこに住んでた。
あ、今はもう他の人が入ってんだ。
ちょっと大家さんに挨拶しても良い?」
「うん」
返事をすると、翔馬は私の手を引いて
アパートの隣にある一軒家へと足を向けた。
――ピンポーン・・・
【はい】
「あ、お久しぶりです。馬越です」
【え・・・はいはい】


