衣麻と僕と俺と私




「へぇー、ほんとに可愛いね」


「え?」


女の子が言った“ほんとに”の意味が気になって


恥ずかしさを残したまま顔を上げる。


「翔馬ね、幼なじみの衣麻ちゃんって子のこと


可愛いんだっていっつも自慢してたの」


「え・・・」


「おい、やめろって!」


私の顔が真っ赤になるのと


翔馬が真っ赤な顔をして女の子を止めるのは


ほぼ同時だったように思う。


“いっつも自慢してた”ってことは


その頃には私のこと好きでいてくれたってこと?


少しうぬぼれちゃうけど良いのかな。


「それにしても翔馬、背伸びたよね」


「あー・・・小学校卒業してからだったら


30cmは伸びたと思う」


翔馬は男の子に囲まれておしゃべりを始めてしまった。


この子たち、女の子2人男の子3人のグループなんだ。


私立中学行ったってことは頭良いんだろうな。


「ねぇねぇ、衣麻ちゃんはさ


翔馬と付き合ってるんでしょ?」