衣麻と僕と俺と私




私は去年と同様に、屋上で1人グラウンドを眺める予定。


雪乃と良太は仲良くグラウンドにいるだろうし


翔馬はバスケ部のメンバーで集まってると思う。


篤たち3人もワイワイやってるだろうし


去年と同様、誰にも邪魔されることはない。


そう思ってたのに。


「衣麻ーーー!!」


「え?」


色んな場所に反響してるけど


確かにグラウンドの方向から翔馬に似た声が聞こえた。


柵に手をかけてグラウンドを覗き込むようにして見ると


ちょうど真下に翔馬の姿。


もちろん人はいっぱいいるんだけど


賑やかすぎるのか、誰も翔馬のことは気にしてない。


「なーにー?」


私も負けじと声を張り上げて反応する。


たったこれだけのことなのに、体が熱い。


千葉さんの言葉が頭の中を埋め尽くす。


『馬越くんのこと好きやろ』


やっぱり私、翔馬のことが・・・


「今!行くから!待ってて!」