衣麻と僕と俺と私




「俺が・・・助ける」


「え?」


翔馬は私の右側にいるけど、今の声は小さすぎた。


「衣麻!」


「は、はい!」


声が小さかったと思ったら急に大きな声で呼ばれて


こっちも思わず丁寧に返事しちゃった。


翔馬はブランコから立ち上がって、私の目の前に立った。


立っててもいつも見上げてるのに


座ってたら余計に見上げないといけなくて


首が痛くなりそう。


「衣麻は俺のこと


ただの幼なじみと思ってると思うけど


俺はずっと・・・衣麻のこと好きです」


「・・・・・・」


いつものニコニコした優しい表情じゃなくて


たまにしか見ることができない真剣な表情。


翔馬は大事なことを言う時はこの顔になる。


何か、何か言わなきゃ。


でも、何て言えば良いのか分からない。


翔馬の気持ちを知って嬉しくて顔が火照ってるけど


正直、恋愛はよく分からなくて。