衣麻と僕と俺と私




居間と繋がってるからお母さんには一部始終見られてたけど。


そのせいでお母さん苦笑いしてるし。


「衣麻もそんな年頃か・・・」


「別に嫌いな訳じゃないけど」


――ピンポーン・・・


「あれ?誰か来たみたいやね」


お母さんがそう言ったけど、お母さんの手は泡だらけ。


だから代わりに私が出ることにした。


「はーい」


「よ」


相手は、翔馬だった。


今日は土曜日なのに制服を着てる。


あ、そっか。


翔馬は部活があるんだった。


終わってから真っ直ぐ来たのかな。


「ちょっと散歩しねぇ?」


“散歩?”って思ったけど、頷いた。


だって、翔馬がまとってる雰囲気が寂しそうに感じたから。


“晩ごはんまでには帰るね”


お母さんにそれだけ伝えて翔馬と散歩に出かけた。