「衣麻ね!おかえり!」
何でも瑛太の真似をする瑛斗はようやく
私が“衣麻ねぇ”って分かって来たみたい。
私は別に“衣麻”で良いんだけど
瑛太も呼んでるのに瑛斗だけっていうのも変だもん。
「ただいま、瑛斗」
笑顔で“抱っこー”と両手を広げてる瑛斗を
抱き上げて、居間に入る。
お母さんは台所で瑛太は部活かな。
お父さんは寝っ転がってテレビを見てる。
衣里ちゃんは・・・部屋かな。
「ただいまー」
「お、おかえり衣麻。目当ての物は買えた?」
一応私も思春期まっただ中の女の子。
最近は何となくお父さんが嫌で避けてる。
お父さんはめげずに話しかけてくるけど。
「おいー・・・無視すんなよぉ」
そんな甘えた声で言わないで欲しいよね。
「あー・・・うん、買えた買えた。
瑛斗、お父さんとこ行っといて」
瑛斗には悪いけど利用させてもらって、逃げるように台所へ。