キーンコーン―――



「はぁ……ギリギリセーフ……羅菜ってば速いよ……」



「陽莉が遅いだけだよ」



ギリギリチャイムに間に合った私と羅菜はそれぞれ自分の席に着いた。



「東本、大丈夫?すっげぇ息あがってるけど」



隣から梶原くんが心配そうに私を見ている。



「だ、大丈夫……」



少しドキドキしながらあははと笑う。



「あ!そういえばね!」



私は羽山くんに会ったことを思い出して、梶原くんの方に体を向ける。



「ん?」



「梶原くんの後輩くん……あの……羽山奏斗くん!」



「あぁ、羽山か。羽山がどうかしたの?」



「羽山くんがね、私の生徒手帳拾ってくれてたみたいで……。あの子、すごくいい子だよね!」



羽山くんの笑顔を思い出すと心がポカポカしてくる。
本当にいい子だったなぁ……。