「陽莉、払わなくていいから」
「え?」
俺は陽莉の後ろから店員に1000円札を渡した。
「1000円お預かりいたします」
会計を済ませ、アイスを受け取ると近くのベンチに腰をかけた。
「朔空くん、お金……」
「いいよ別に。気にすんな」
「で、でも……」
「俺もアイス食いたかったし」
テキトーな理由をつけて、陽莉が払おうとするのを止めた。
男が女に金払わせるなんて、彼女じゃなくてもなんかモヤモヤするし。
それに、別に奢ってもらうつもりなんて最初からなかったし。
「んんーっ!!!ストロベリーチーズケーキ、すっごく美味しいね!」
「そうだな」
幸せそうな笑顔を見せる陽莉に思わず、頬が緩む。
すると陽莉は少し頬を赤く染めて下を向いた。