「……陽莉、行くぞ」



「朔空くん……」



後ろから朔空くんが私の頭に手をおいた。



「じゃ、東本またな」



「ばいばい」



精一杯の笑顔で手を振ると、梶原くんは女の子と一緒に校舎を出て行った。



2人で帰るってことはやっぱり付き合ってるんだ。
私のこの恋は叶わないんだ。
その事実を目の前にしてしまうとやっぱり胸が苦しくなる。



でも……前とは違って、すぐに諦められるような気がした。
もう叶わないんだっていう事実を目の前にしたからかな?
前まではただのウワサなんじゃないかって、心のどこかで思うようにしてたんだ。



「陽莉……」



「朔空くん、帰ろ」



今日限りで、本当に梶原くんのことは諦めよう。
諦めてしまえばラクになる。



だから……諦める。



今度こそは諦めるんだ。