羅菜ちゃんは澤村くんのことを「ウソくさい」とずっと言っている。
たしかにあんな完璧すぎる人、初めて見たかも。
「……イライラするわこの群れ………」
「羅菜、落ち着いて。あと少しで抜けられるはずだよっ」
イライラする羅菜を落ち着かせながら、群れから脱出しようと人をかき分けていく。
そのときだった。
「きゃっ」
女の子に押されて、私はバランスを崩した。
こ、コケちゃう……っ!
と、目をつぶった。
……が、全く痛みがない。
ゆっくり目を開けると、私は誰かの腕に包まれていた。
「……っ!?」
それは、“爽やかモテ王子”の澤村くんだった。



