【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。








「べ、別に私に歩くペース合わせてくれなくていいよ。先に行けばいいじゃん」



まさか私に歩くペースを合わせてくれるとは思ってもいなかった。
だからかなり驚いている。



「無理」



「な、なんで?」



「気分」



なにその気分……。
優しいのか優しくないのかよくわかんない人。



それから数十分。
学校の校門をくぐる。



その瞬間、生徒からの視線が私と朔空くんに向けられる。



「朔空くん、なんかすごい見られてるよ……」



「そりゃ俺が女と2人で歩いてるからな」



特に女子の視線がすごい。
怖くて女子の目を見ることができない。



「こ、怖いんだけど……」



「大丈夫だって。俺が守るって言っただろ」



そう言った朔空くんの横顔がなんだかカッコよくて、心臓がうるさいぐらいに音を立てる。