そして今日の放課後、俺は女たちを振り切ったあと教室に弁当を忘れたことに気づいた。



「はぁ、めんどくせぇな」



めんどくせぇけど、取りに行くしかねぇだろ……。



それから教室に行くと、人の気配が感じられた。
こっそり見ると、東本ってヤツが机に伏せてなにか言っている。



「梶原くん、好きです……」



……ん?梶原?
あ……そういえば。



東本と森川ってヤツが昨日雑誌を見て盛り上がっているのをたまたま見かけた。



『……陽莉は梶原くんが好きだもんねぇ』



『だって……梶原くん、カッコいいもんっ』



その会話を聞いて、梶原のことが好きなんだと確信した。



今、俺が教室に入ったらすっげぇ焦りそうだな。



俺は興味本位で教室に入って言った。



「キミ……なにしてんの?」



すると東本は体をバッと起こして、予想通り焦りだした。