「あの先輩って、爽やかモテ王子って呼ばれてる澤村先輩と付き合ってるんでしょ?はは、奏斗に敵うはずないない」



「う、うるさいな!いいんだよ別に、想いを伝えられたから……あとは忘れるだけだし」



「忘れる、ねぇ」



紗季は俺を見て呆れた表情を浮かべる。



「な、なんだよ」



「ん?奏斗には無理だろうなーと思って」



「無理じゃねぇし!あと少し、だし」



あと少し……って俺は思ってるけど、あんなに大好きだった先輩をそう簡単に忘れられるはずがないよなぁ……。



陽莉先輩、好きです。



いくら伝えてもきっと俺のこのキモチは消えてくれないのかもしれない。



「新しい恋でも始めたらいいのに」



「え?」



紗季の言葉に聞き返す。



「新しい恋をすれば、きっと自然に先輩のこと、忘れられるでしょ」



「なるほど」



確かにそうかもしれない。
新しい恋をすれば、先輩への想いは思い出になる。