「はぁ……」
俺は今日も窓から彼氏さんと仲良さそうに登校してくる大好きな先輩を見つめて、ため息をつく。
「奏斗ってば、またあの先輩見てる」
そんな俺を見てにやにやしながら絡んできたのは、クラスメイトの紗季(さき)。
紗季はクラスメイトの中ではわりと仲のいい方で、よく話す。
「うるさいなぁ、ほっといてよ」
「フラれたら吹っ切れるって言ってたクセに、未練タラタラじゃない」
「そんなことない」
「じゃあなんで毎日毎日先輩を見かけるたびに目で追いかけてるの」
「それは……」
ダメだ。
紗季にはなんでもバレてるみたい。
「だって……大好きだったから」
先輩を初めてみたときからずっと、胸がドキドキして……。
一目ぼれなんてありえないって思ってたけど、あれは一目ぼれだったんだ。