「だからどっちにしろ、お前はアイツを諦めざるを得ないんだよ」
「……っ」
そうだよ、あんなにカッコよかったら彼女ぐらいいてもおかしくない、よね。
おかしくない、のに。
すごく悔しくて胸が苦しい。
涙が出そうになって私は階段を駆け下りて体育館を出た。
「はぁ……っ、うぅ……」
「……陽莉」
朔空くんは私を追いかけて名前を呼んだ。
「ごめんね……っ!私、そういう情報に疎くて……全然そんなの知らなくて……っ」
もう少し、ちゃんと彼女がいるとか調べればよかった。
そうしていれば、こんな気持ちにはならなかったのに。
「………別に、男は梶原だけじゃねぇんだしまた次の恋でも探せばいいんじゃねぇの」
「そうだね……」
そんな簡単に切り替えられたらいいんだけどね。
梶原くんのこと、本当に大好きだったんだもん。
「……帰ろう」
「おう」
溢れそうになった涙を拭って、昇降口に向かった。