「そしたら朔空には陽莉さんがいて……私の居場所はないって思ってた。でも、朔空は昔みたいに私のワガママを聞いてくれて……陽莉さんから朔空を奪いたいって思うようになって……」
「え……?」
「私が小さい頃からずっと、朔空のこと好きだったって知ってた?」
玲ちゃんはそう言って一筋の涙を流した。
「そんなワケないよね。朔空ってば鈍感なんだもん」
「ウソ、だろ」
「好きじゃなきゃ、陽莉さんにウソのメール送ったりしないよ。てか朔空、ケータイのロックナンバー、自分の誕生日だとすぐ解除されちゃうよ」
「な……っ」
私はただ、苦しそうで切なそうな玲ちゃんを黙って見ていることしかできなかった。
「陽莉さん、ごめんなさい……。これからも朔空のそばにいてあげてください」
「玲ちゃん……」
「私……朔空に依存してただけだった。父子家庭っていう家庭環境を利用して、朔空を自分勝手に振り回してただけだった。私には朔空を幸せにできないから……だから……」
ガラガラ―――
「玲!」
すると、病室の扉が開かれ、体格のいい男の人が入ってきた。



