昨日、陽莉が帰ったあとのこと。



「で、頼みたいことってなに?」



「実は……しばらく、朔空の家で住まわせてほしいの」



「……は?」



「パパがね、今日から出張で……で、私1人じゃ心配だから、朔空の家で預かってもらいなさいって言われたの。それで、ここに1人で帰ってきたってワケ」



あまりに突然のお願いに驚きを隠せない。



「母さん、玲が来るなんて一言も言ってなかったけど」



「……っそ、それはね!パパが忙しくて連絡入れられないから、私がお願いしろって言われて……!無理だったらいいの。他をあたるから」



「ふぅーん……」



玲のお父さんは結構マメなイメージあったんだけど……。
連絡入れる暇もないほど、相当忙しいのかな?



すごく寂しそうな目で俺を見る玲。



玲は小さい頃に母親を病気で亡くし、父親はずっと仕事で忙しくて、寂しい思いをしてきたのは知っている。
父親を困らせないように寂しい思いをしてるのをずっと隠して、俺の前だけでしか泣かないようにしていたのも知っている。



そんな玲を見捨てるなんて俺にはできない。