【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「その……っ私、羽山くんとはなにもないから……!」



とにかく誤解を解かなきゃと、私は言った。



「え?」



「この間……私が羽山くんに抱きしめられてるの見てたんだよね?」



「…………」



「あれは……羽山くんの苦しそうな表情を見てたら抵抗できなかっただけで……」



自分なりに朔空くんの中の誤解を解こうと必死に話す。



「今日のデートも、ちゃんと羽山くんとの関係に線引きをするために……したの」



「……っ」



「さっき、ちゃんと自分の気持ち伝えたんだ。……羽山くんの気持ちには応えられないって」



……ちゃんと、朔空くんに伝わったかな?
今、朔空くんはなにを思っているのかな?



朔空くんは俯いたまま、動かない。



「それと……私、朔空くんに言わなくちゃいけないことがあるんだ」



あと1つ、言わなきゃいけないことを忘れていた。
一番重要なこと……。



私の気持ち。