「あ、来ました」
「……っ!」
羽山くんの指さした方向を見て、私は目を見開いた。
ウソ……でしょ?
「おい、お前……気安く陽莉に触ってんじゃねぇよ!」
走ってきたのか、息をあげて私の手を掴んでいた羽山くんの手を引きはがしたのは……。
「さ、朔空くん……」
朔空くんだった。
「陽莉になにかしたんじゃねぇだろうな?」
「なにもしてませんよ。約束通り」
え?どういう状況?これ……。
“約束”って……なに?
「では、僕は帰りますね。また月曜日、陽莉先輩」
「う、うん……ばいばい……」
状況を全く理解できていないまま、公園を出て行く羽山くんを見つめていた。



