「あ……」
もしかして……あれから教室に帰って朔空くんが冷たかったのは、それが原因?
私、抵抗もしなかったから受け入れてたって思われた……?
いや、でも朔空くんは告白はウソだって言ってたし……。
「本当に、すいません」
本当に申し訳なさそうに深く頭を下げる。
不思議と私は羽山くんに対して怒りなんて湧いてこなかった。
抵抗しなかった私も悪かったって思ったから。
「ううん、気にしないで」
口ではそう言ったけど、はやく誤解を解きたいという気持ちが溢れ出す。
朔空くんの誤解を解いて……はやく、自分の気持ちを伝えたい。
誤解を解いたって朔空くんにとってはどうでもいいことかもしれないけど……。
朔空くんは私のことなんて好きじゃないってわかってるけど……でも……。
「こういうことするから僕、“腹黒い”って言われるんですかね」
反省した様子で髪の毛をくしゃくしゃと触る。
そういえば、梶原くん……言ってたな。
羽山くんのこと“腹黒い”って。
それより、はやく朔空くんに伝えたい。
はやく会って自分の気持ちを言いたい。
「あの、私……っ」
「そろそろ来るはずなんですが……」
「え?」
私が朔空くんに前に大体このあたりだって教えてもらっていた朔空くんの家に行こうとしたら、羽山くんが腕時計を見てから意味深なことを言った。
そろそろ来る……?



