「……実は僕、陽莉先輩に謝らなくちゃいけないことがあるんです」
「え?」
謝らなくちゃいけないこと……?
「あの日……陽莉先輩と一緒に図書室でお話したときのことなんですけど……」
「どうしたの……?」
「あの日、僕……陽莉先輩のこと、抱きしめましたよね?」
「あ、あぁ、うん」
そういえばそうだった気がする。
でもそれがどうしたっていうのかな……?
「あのとき実は、狙って抱きしめたんです」
「え?狙ってたって……?」
「図書室から授業を受けている澤村先輩が見えて、目があったから……わざと見せつけるように抱きしめたんです」
「う、ウソ……」
羽山くんの口から出た衝撃の事実に言葉を失った。
じゃあ朔空くんは、私が羽山くんに抱きしめられてたのを見てたってこと……?



