【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「ほんとですか!ならよかったです」



優しく笑って、羽山くんは立ち上がって私の目の前に立った。



「……?」



「最後に……けじめ、つけさせてください」



「羽山くん……」



そうだ、このデートは最初で最後の……。
このデートでちゃんと羽山くんに気持ちを伝えるって決めて、今日デートしたんだ。



「……僕、今日一日陽莉先輩と過ごして、陽莉先輩の色んな表情を見て、もっと陽莉先輩のこと好きになってしまいました」



優しいけど、少し震えた声で言った。
そして私の両手を握った。



私は羽山くんの苦しそうな声に抵抗できなかった。



「でも……これで最後にするって決めたから、最後に言います」



「……うん」



私の目をしっかり見て、彼は儚げに笑って口を開いた。



「僕は陽莉先輩のことが好きです。初めて陽莉先輩を見たときからずっと……好きでした」



彼の透き通った高めの声は私の耳にしっかり届いた。