【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「陽莉先輩、すごく幸せそうですね」



「うん、だって幸せだもん!」



「陽莉先輩が幸せそうだと、僕も幸せな気分になります」



「えへへ、ありがとう」



羽山くんは本当にいい子だ。
私のこと、こんな風に言ってくれる人なんてそうそういないよ。



「好きな人の幸せですもん、幸せになるに決まってます」



羽山くんってばサラッと好きって言っちゃうんだから……。
でもそう言った羽山くんの顔は少し悲しそうにも見えた。



「そろそろ出ますか」



しばらく話したあと、羽山くんが伝票を持って立ち上がった。



「あ、お金……」



「いいですよ、僕が奢ります」



羽山くんは優しくニコッと笑う。



「えぇ!そんな悪いよ!」



「遠慮しなくていいですよ、僕が誘ったデートなんですから」



なんか悪いなぁ……。
でも、せっかくだし、お言葉に甘えちゃおう!