『もう、俺に話しかけんな』
朔空くん、なんで急にあんなに冷たくなっちゃったのかな……?
朔空くんの冷たい表情を思い出すだけで、涙が出そうになる。
いいなぁ、漫画の中の女の子たちは。
私も朔空くんとあんな風になれたらいいのに。
「……い。おーい、陽莉せんぱーい!!!」
「……っあ、ご、ごめん!ボーっとしてた!」
顔を上げると、羽山くんが立ちあがって私を見ていた。
私も慌てて立ち上がり、映画館を出る。
「あの映画、予想以上に甘い恋愛ものでビックリしました」
「原作は少女漫画だからね~……羽山くんはあんまり楽しめなかったんじゃない?」
「そんなことないですよ!見ていて幸せな気持ちになりました」
そう言ってふわっと優しい笑顔を見せる羽山くんがすごく可愛かった。
「それにしてもあの男の子すごかったですよね!あんなにグイグイ迫ることができるなんて、尊敬します」
「まさかのそこ!?」
少女漫画に出てくる男の子って大体あんな感じだから、なんとも思ってなかったけど、普段少女漫画とか読まない羽山くんからしたら珍しいのかな?



